@article{oai:hokurikugakuin.repo.nii.ac.jp:00000412, author = {菱田, 陽子}, journal = {北陸学院短期大学紀要, Bulletin of Hokuriku Gakuin Junior College}, month = {Mar}, note = {本研究では、やさしさを中心に現代青年の自己受容の構造を男女別に明らかにするために、大学生を対象に、質問紙(2種類の自己受容尺度、特性等についての自己評価及び他者評価項目、自己受容に関連すると仮定される諸特性に関する項目)に対する回答を分析した結果、おおよそ以下のような事柄が明らかとなった。(1) 2種類の自己受容に関する尺度、及び自己受容に関連すると筆者が仮定した特性に関する尺度について、男女別に因子分析により以下のような因子構造を明らかにした。沢崎尺度については、男性は「まじめなやさしさ」、「現在の自分」、「外見」、「社会的明るさ」、「きょうだい関係」、「ゆとり」の6因子、女性は「社会性」、「外見」、「自分の状態」、「やさしさ」、「まじめさ」、「体力」の6因子からなること、菱田尺度については、男性は「弱点肯定・大切」、「自己愛しさ」、「生へのいたわり」、「弱点理解」の4因子、女性は「自己愛しさ」、「弱点大切」、「弱点肯定」、「生へのいたわり」の4因子からなること、自己受容と関連すると仮定した特性については、男性は「非自立」、「メタ理解」、「内省的葛藤経験」、「厳しさ効果」、「依存的承認欲求」、「非厳しさ体験」の6因子、女性は「楽天的自信」、「非自立」、「厳しさ効果」、「依存性」、「内省的葛藤経験」、「承認欲求」の6因子からなることをそれぞれ確認した。これらは分析前に仮定した構造と相違もみられたが、現代青年の自己受容及び特性の男女別構造を示すものと考えられる。(2)自己評価・他者評価が自己受容に与える影響を明らかにするため、菱田(2003a)による沢崎尺度5因子(「居場所」、「社会性」、「外見」、「やさしさ」、「まじめさ」)とここでの自己受容との相関を男女別に求めた結果、おおよそ以下の事柄が明らかになった。男性では、自己評価の方がより関連が強いこと、自らを優しいと思っているものほどゆとりを受容していること、各特性を自分がどのように受け止めているかが受容にとって重要な意味をもつこと、他人の評価より、自分で自分を優しいと思っている者ほど自分を愛しく思えること、他人に自分の外見が評価されていると思うほど自分に優しくなれること、女性では、両評価が高ければ自分の弱さを受け入れやすいが自分の弱さを肯定することと関係はないこと、男女とも家庭環境などの居場所、積極性などの社会性の両評価がたかければ自分は生まれてきてよかったという生へのいたわりを受容していること等であった。男性は自分の「やさしさ」の評価が自分を愛しく思い自分を受け入れることを支え、女性は自分の積極性などの「社会性」の評価が自分を愛しく思い自分を受け入れることを支えていることも明らかになった。ただし、菱田の自己受容尺度は自己受容過程の一部分である自己へのやさしさ側面のみを扱ったとも考えられ、今後検討する必要がある。(3)自己受容に関連すると思われる諸特性と自己受容因子との相関により、現代青年のやさしさを中心とした自己受容の特徴を明らかにした。第1の特徴は「メタ認知的側面」であり、メタ的に認知する側面を持つことは男女とも自己受容を支えるが、男性により成熟性がみられ、女性には楽天的傾向が見られること、第2の特徴は「社会性の受容」であり、社会性の受容に「メタ認知的側面」が関連し、加えて女性には健全な「依存性」の関与が特徴的であること、女性の「依存性」特性は他の多くの自己受容因子との相関もみられ女性の特徴として注目する必要のあること、第3の特徴は「やさしさ、まじめさの受容」であり、男性では「やさしさ」、「まじめさ」は分化せず女性では分化したこと、男性の「まじめなやさしさ」は構造が複雑であることが予測されること、女性の自分に対する「やさしさ」受容はメタ的な特性と健全な依存性に由来すること、男性は自立性の発達にともない「まじめなやさしさ」を獲得し、女性は自分の厳しい体験によって他人に対する「やさしさ」を身につける傾向が推測されることである。}, pages = {195--211}, title = {現代青年の自己受容に関する分析(2) : やさしさを中心とした性差の検討}, volume = {35}, year = {2004} }